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2024年からのFIT単価の引き上げについて解説!

2023年1月31日に行われた調達価格等算定委員会において、2024年度のFIT制度の買取価格案が示されました。

内容としましては10kW以上の屋根設置区分の新設が提案され、地上設置型よりも2、3割程度高い価格が設定される見通しです。詳細と論点についてまとめます。パネルを設置できる適地が減っており、屋根の活用が後押しされています。

※本記事は、経産省の2023年1月31日に行われた調達価格等算定委員会の内容を参考にしています。正式な買取価格や条件は未定であり、今後の議論によって内容が変更される可能性があるため、何卒ご了承ください。

これまでのFIT価格の推移

これまでのFIT価格は下記のように推移しています。

「FIT制度(固定価格買取制度)」とは、太陽光発電なら10年間、固定価格の売電が保証される制度です。グラフを見て頂ければわかる通り、年々売電価格は下がっています。固定買取価格制度は、2009年に住宅用太陽光のみで始まったものでしたが、2012年からは10kW以上の産業・事業用太陽光と呼ばれる部類にも適用されるようになりました。

FIT制度における買取価格は、太陽光発電システムの価格を基準として、設置コストの回収だけでなく、設置する人が適正な利益を得られるように調整されています。FIT価格は設置者の投資費用を回収し、公平な利益となるように設計されているため、「昔は高く売電されていたから得」「今は売電価格が安いから損」というわけではございません。

 

2024年度FITに新たな方針が

年々下がっていたFIT価格ですが、1月31日に行われた調達価格等算定委員会にて産業省が新たに示した方針では、設置場所によっても買取価格に差を設けるというルールが追加される見込みです。

従来は図と共に上述したように、発電容量の区分ごとに買取価格が決められていましたので、新たな試みとなります。

 

屋根設置区分とは

10kW以上の事業用太陽光については、2024年度から新たに「屋根設置」区分という項目を創設し、低圧事業用(10kW以上50kW未満)も含めて調達価格を12円/kWhとしました。また、屋根設置区分の12円/kWhは、2023年下半期にも適用し、認定申請の停滞を防ぎます。これらが認定されれば、2023年度の9.5円/kWhよりも高い価格が適用されることになりそうです。

来年度(2023年度)における事業用太陽光の調達価格・基準価格については、すでに決まっており、一定規模以上は入札制、50kW以上入札対象未満は9.5円/kWh、10kW以上50kW未満で地域活用要件(自家消費か営農型)を備えた案件は10円/kWhとなっており、2024年度については、低圧と高圧を一律とした「10kW以上の屋根設置」区分を新設して入札対象外とし、「10kW以上50kW未満の地上設置」(地域活用要件の低圧事業用)、「50kW以上入札対象未満の地上設置」とは別の調達価格を設定する方向です。

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低圧事業用太陽光のFIP化

昨年12月26日の調達価格等算定委員会では、低圧事業用太陽光のFIP対象化についても方向性が示されています。現在、低圧事業用太陽光は地域活用要件を満たした場合、FITによる売電が認められていますが、一定の要件を満たした場合、FIPの対象とします。

 

要件とは、

(1)電気事業法上の発電事業者であること、

(2)直接の契約関係に基づき、電気事業法上の小売電気事業者・登録特定送配電事業者・特定卸供給事業者に供給していること

のいずれかになります。

低圧事業用太陽光のFIP対象化の背景には、すでにコーポレートPAA(電力購入契約)モデルで複数の低圧サイトを開発する動きが活発化しており、こうした事業モデルにFIPを適用できるようにする狙いがあります。

 

おすすめの業種

2024年度のFITでは、工場・倉庫の屋根に設置された太陽光発電設備を対象として、平地(野建て)設置した太陽光発電と比べて2割から3割増し(12円/kWh)を想定した価格で電気を買い取る方針が打ち出されています。

本案が承認されれば、工場への太陽光発電の導入及び、今までしばしば課題として挙げられていた物流倉庫への設備導入にも追い風になることが予想されます。

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この記事を書いた人

本田陸

本田陸

株式会社サンエー マーケティング部所属。2022年より企業向けの環境に関するコラムの執筆を開始しました。マーケティングの分野に関して、中学校での職業講話に登壇させていただきました。脱炭素化社会の構築に向けて、環境に関する情報を発信しております。趣味は筋トレとオンラインゲームで、社内のe-sports部で社会人向け大会にも出場しました。