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カーボンプライシングとは?日本の現状と動向を解説!

脱炭素社会が急激に進むと思いきや、そこにブレーキをかけたのがロシア・ウクライナ戦争の影響です。電力確保が難しくなり、結局石炭火力発電を再稼働させたりなど、再生可能エネルギー以外の発電に頼らなければいけなくなり脱炭素化の動きが鈍くなりました。

ただ、このことを機に各国がどのように自国の電力を確保するのかが明確になり、どのような場所でもエネルギー供給がし続けられる再生可能エネルギーの必要性を再認識したのです。

エネルギーの確保と共に脱炭素化はこれから急激に進みます。その脱炭素を進める上で必要不可欠なのが「カーボンプライシング」です。

今回はカーボンプライシングについて解説いたします。

カーボンプライシング(略CP)とは?

気候変動問題の主因である炭素に価格を付ける仕組みのことです。これにより、炭素を排出する企業などに排出量見合いの金銭的負担を求めることが可能になります。CPの具体的な制度は、「明示的CP」と「暗示的CP」に分類され、このうち明示的CPは排出される炭素量に直接的に値付けする点が特徴です。各国が精力的に導入・整備を進めているのも明示的CPで、代表的には「炭素税」と「排出量取引制度」が注目されています。

「暗示的CP」は明示的CPの徴収するのとは反対に補助金や税などで間接的に値付けされるのが特徴です。

 

上記はあくまで国によるカーボンプライシングですが、民間によるカーボンプライシングの「インターナル・カーボンプライシング」、「国内クレジット取引」などもあります。

 

カーボンプライシングを導入するメリットとデメリット

カーボンプライシングを導入するメリットは「経済対策と環境対策」が両立できることです。

カーボンプライシングを導入すれば、企業側は二酸化炭素排出量を減らすための取り組みを、より積極的に行っていくことになります。企業は再生可能エネルギー設備を導入することで電気代削減による経費の削減や優遇税制による節税により、利益が生まれ、更なる発展のきっかけとなります。

そしてその様な企業が増えれば自ずと脱炭素化が進むことになります。

 

逆にカーボンプライシングを導入するデメリットは「コスト上昇」です。

再生可能エネルギー設備は補助金や税制優遇が適用されるものの、決して安い買い物ではありません。設備投資の回収であっても数年で回収できるものもあれば、10年以上かかるものもあります。ですので、再エネ設備導入には長期的な計算も目も必要になります。

コスト増によって国際的競争力が低下する恐れもあります。

 

日本のカーボンプライシングの現状

日本においてのカーボンプライシングは現在、どのような状態なのか。

2022年12月末に岸田首相は2023年度から日本版カーボンプライシングを始めると表明した。既に暗示的CPは以前より積極的に制度として行われていますので、今回のCPの話は明示的CPとなります。

日本版カーボンプライシングの仕組みとは、まず1つめは「排出量取引制度」、2つめはエネルギー企業に対する「炭素賦課金」の2本柱です。

排出量取引制度は企業が輩出したCO2を売買する制度、以前は国同士で行われている排出量取引制度が国内の企業などが行うことになります。

炭素賦課金は民間企業に対してCO2排出量に比例して徐々に負担が課せられていく。課金でイメージするのは再エネ賦課金ですが、対策をしなければ徐々に増えるという点は一緒である。

 

世界のカーボンプライシングの現状

日本によるカーボンプライシングはまだまだ進みが遅いが、海外はというと炭素税や排出量取引などが既に併せて約70件にのぼっている。

炭素税の価格は欧州連合、カリフォルニア、ニュージーランド、韓国、スイス、カナダなどでは過去最高水準に達している。

EUでは2005年に世界で最初となる排出量取引制度が導入されました。この制度はEU加盟国とアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーの企業に対して排出量の上限が割り当てられ、その過不足分を排出量取引制度によって市場取引する仕組みとなっています。

EUの2005年カーボンプライシング開始がだいぶ早く始まったと感じますが、フィンランドは1990年に世界で初めて、炭素税を導入しています。炭素税による税収は所得税の減税や企業の社会保障費削減による税収現象の一部を補填する為に使われている。

 

日本の今後の動向

排出量取引制度の本格的開始は2026年より開始される。

33年には電力会社が排出する量を国から買い取ってもらう制度も始まる。

炭素賦課金は2028年より開始予定となっている。

カーボンプライシングは国にとっては税収でもあり、その税収をしようした補助金や優遇税制で更なる脱炭素化を進めていくことになります。

今、各企業が脱炭素化を推し進めている理由は、国外や国内のサプライチェーンから外れない為や社会的責任など色々ありますが、再エネ使用率100%を目指すのは今後、排出量取引や炭素賦課金などの支出を減らすためもあります。

再エネ設備のトップリーダーである自家消費型太陽光の導入はもはや必須で、それ以外での脱炭素対策が必ず必要になっていくでしょう。

この記事を書いた人

横山真吾

横山真吾

2021年よりマーケティング部に所属し、広報業務も兼任。自社の活動内容が日本経済新聞や各種業界誌にも取り上げていただきました。2022年には業界では初の自家消費太陽光発電システムの全額返金保証制度等、様々な企画を行ってきました。 趣味はオンラインゲーム。eスポーツの社会人リーグ「AFTER 6 LEAGUE」にも参戦しました。