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太陽光発電はエコじゃない?その誤解を地域活性化や世界の導入状況から解説

「太陽光発電はエコじゃない」という噂を聞いたことはありませんか?本記事では「なぜそのような噂があるのか」、「その噂は事実なのか」について詳しく解説します。

太陽光発電を含む再生可能エネルギーは世界的にも注目され、今後の社会において必要不可欠とされ技術です。せっかく関心を持って導入を考えても、「エコじゃない」という噂のせいで、躊躇(ちゅうちょ)してしまう方もいるでしょう。

何にでも噂はつきものですが、すべてが正しいわけではありません。間違った噂を鵜呑みにしないために情報をお伝えしますので、早速、見ていきましょう。

太陽光発電がエコじゃないと言われる理由は?

まず、一部で太陽光発電がエコじゃないと言われている理由を考えてみましょう。色々と調べてみると、次の2つが根拠にしていることが分かります。

・製造するときにエネルギーを消費するからエコじゃない

・廃棄するときにエネルギーを消費するからエコじゃない

それぞれ、見ていきましょう。

 

製造工程のエネルギー消費

太陽光パネルを含めた発電設備には、「EPT(エネルギーペイバックタイム)」という指標があります。

EPTは、発電設備の製造から廃棄されるまでに消費されるエネルギーを、何年分の発電で回収できるかを表したものです。国立研究開発法人産業技術総合研究所の資料によると、太陽光発電システムのEPTは1.5年?3年程度です。

太陽光発電システムの製品寿命は30年前後であることを考えると、たったの1. 5年?3年の稼働で製造から廃棄までに消費したエネルギーを回収できるのです。

自動車や家電製品なども製造・廃棄時にエネルギーを消費しますが、それらは発電機能はないため、エネルギーの回収はできません。

このような事実を並べてみると、「太陽光発電は製造時にエネルギーを消費するからエコじゃない」という噂は、誤解であることが分かるでしょう。

 

廃棄工程のエネルギー消費

次に、太陽光発電を廃棄するときのエネルギー消費についてです。

前節で解説した通り、太陽光発電システムの「EPT」は1.5年~3年ですが、この期間には廃棄時のエネルギーコストも含んでいます。そのため、改めて説明する必要はないでしょう。

代わりに、太陽光発電システムの廃棄関連で知っておきたいことを紹介します。

それは「廃棄物問題」です。これは太陽光発電システムに限ったお話ではないのですが、ごみ問題は国際的な環境問題のひとつでもあり、温暖化効果ガスの排出問題とともに早急な対策が求められています。

太陽光パネルの廃棄については、環境省が法整備を進めているほか、民間企業や大学の研究によって、リサイクル技術の開発が進められています。

すでに実用化しているリサイクル技術もありますので、今後、さらに技術が発展していくことで、太陽光パネルの大部分が再資源化可能になることが期待されます。

 

「エコじゃない」は誤った認識

前章で、「太陽光発電はエコじゃない」について、EPTを用いて解説しました。

太陽光パネルの製造時や廃棄時にエネルギーを消費するとはいえ、現在の太陽光発電の変換効率ではわずか1. 5年?3年で回収できるのです。

製品寿命から考えて残りの20数年間は、化石燃料のエネルギーに代わって太陽光から変換したエネルギーを利用できます。

さらに、太陽光パネルの普及に伴って生産量が増えてくると、生産設備が増強され効率化されていきますので、生産効率も上がります。つまり、より少ないエネルギー消費で太陽光パネルを生産できるようになるのです。

このような事実から考察すると製造時・廃棄時のエネルギー消費を指摘した意見は、正確ではないことは明らかでしょう。

一方で、太陽光発電システムは解決すべき課題があることも事実です。

エコの観点で代表的なものが太陽光パネルを設置するために、大規模な森林伐採が行われてしまうことです。

また、化石燃料を使ったエネルギーと比較すると、太陽光発電は天候や立地条件、夜間は発電できないなど安定性にも課題があります。

そのため、水力発電や風力発電など他の再生可能エネルギーとうまく組み合わせて活用することが求められます。

総論として、地球規模の温暖化や日本が抱えるエネルギー問題を解消するうえで、太陽光発電は欠かすことのできないソリューションであり、世界規模で見ても活用の推進が停滞することはないでしょう。

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日本のエネルギー問題

日本はエネルギーの自給率がとても低い国です。OECD(経済協力開発機構)36カ国中34位で、2019年度の自給率はわずか12.1%しかありません。

東日本大震災以前の2010年度では20.2%と、今と比較しても自給率は高かったのですが、原子力発電所の停止によって、現在の水準にまで落ち込んでいます。

自給率が低い原因として、日本はエネルギー資源が乏しいことがあげられます。消費するエネルギーは石油や石炭、天然ガスといった化石燃料に依存しているのですが、そのほとんどが海外からの輸入に頼っています。

エネルギーの輸入を海外に依存してしまうと、国際情勢などの影響を強く受けてしまい、安定したエネルギー確保が困難になるリスクを抱えてしまいます。

近年の電気料金の高騰も原油価格の上昇が原因であり、現代社会に必須なエネルギーが国際情勢に左右される状態は、日本が抱える大きな問題といえます。

再生可能エネルギーの活用が推進されているのは、地球温暖化といった環境問題だけではなく、日本のエネルギー事情からも必然の選択肢なのです。

次章では、太陽光発電がなぜ期待されているのかについて説明します。

 

太陽光への期待

前章で説明した通り、日本はエネルギーの自給率がとても低く、またエネルギー資源も乏しいという問題を抱えています。現在の主要エネルギーが石油や石炭などの化石燃料である以上、海外からの輸入に頼る状況は回避できるものではありません。

油田が少ないという状況は地理的な問題であり、解消する術はないのです。

また、東日本大震災では原子力発電所のリスクが現実のものとなってしまいましたので、再稼働の予定はあるものの、原子力発電所を増設するのは、非常に困難な状況といえるでしょう。

地球温暖化の回避や政府が掲げている「カーボンニュートラル(CO2排出実質ゼロ)」を実現するためには、太陽光発電を含む再生可能エネルギーの活用が大きく期待されます。

再生可能エネルギーは使うか使わないかに関わらず、地球上で起こる自然現象をエネルギーに転換する技術です。エネルギー資源が乏しい日本でも、エネルギーの自給率を高めることができる有効な手段であることに異論はないでしょう。

地球の環境問題や日本のエネルギー問題を考えるうえで、太陽光発電などの再生可能エネルギーは必要不可欠なのです。

 

太陽光発電のエコな点

ここまでで「太陽光発電はエコじゃない」という意見が誤っていることや、再生可能エネルギーの活用は絶対的に必要であることをご理解いただけたかと思います。

この章では、太陽光発電のエコな点について見ていきたいと思います。

 

二酸化炭素を排出しない

石油や石炭、天然ガスを使った場合、二酸化炭素が大量に排出されてしまいます。原子力発電所は、稼働中に二酸化炭素を排出することはありませんが、放射性廃棄物を排出してしまいます。

そして、放射性廃棄物はいまだに有効な処理方法が確立されていません。

このように化石燃料や核燃料を使った現在の発電方法では、必ず廃棄物が発生してしまうのです。

一方、太陽光発電のような再生可能エネルギーでは二酸化炭素のような排出物が発生しません。これは太陽光パネルを設置していない方でも、想像できる事実かと思います。

エネルギーを生み出す代わりに何らかの排出物が発生することから考えると、とても画期的かつ環境にやさしい(エコ)システムだと思いませんか?

 

自然の太陽光をエネルギーに転換する

太陽光発電は、地球上に自然に降り注いでいる太陽光をエネルギーに転換するシステムです。

エネルギーに転換するときに排出物が発生しないことはすでに説明済みですが、そもそもエネルギー源が太陽光であることもエコな点です。

火力発電であれば石油、石炭、天然ガスを燃やすことでエネルギーを発生させ、原子力発電所では核燃料を使ってエネルギーを発生させています。

有限の資源や核燃料を使わずに自然からエネルギーを生み出し、一般住宅でも導入できる太陽光発電は家計にもやさしいエコなシステムといえるでしょう。

 

太陽光発電を取り入れた地域活性化の事例

日本の太平洋岸に位置し年間の日射量などに恵まれている山梨県では、長期計画を策定して太陽光発電などの再生可能エネルギーの普及促進に取り組んでいます。

その取り組み内容の一部を紹介します。

 

山梨県の取り組み

山梨県は日照時間が全国でもトップクラスという自然環境を活かして、太陽光発電などの再生可能エネルギーの積極的な導入を図るため2009年3月に「やまなしグリーンニューディール計画」を策定しました。

2011年3月には計画をさらに具体化した「やまなしグリーンニューディール計画推進指針」を定めています。

山梨県ではその後も、再エネの導入促進と省エネ対策に取り組んでおり、2016年3月には「やまなしエネルギービジョン」を策定しています。

『2030年を目標に県内の電力自給率を70%にする』という挑戦的な目標が盛り込まれています。そして、2050年を目安に自給率100%の地産地消を目指すという目標もあります。

とても高い目標ですが、山梨県では電力の供給のみならず削減にも力を入れています。

2009年から2011年にかけて、県有施設30か所に太陽光発電設備を導入した際、一部の施設では照明のLED化や窓ガラスを断熱化するなどの省エネ対策を併せて実施するなど積極的な取り組みを見せています。

 

米倉山太陽光発電所の社会実証

山梨県と東京電力株式会社(現在は東京電力リニューアブルパワー株式会社)は、共同で米倉山太陽光発電所を建設しています。

2012年1月に営業運転を開始した米倉山太陽光発電所は、年間の発電電力が1,200万kWhで一般家庭約3,400軒分の年間使用量に相当します。二酸化炭素排出削減効果は約5,100tを見込んでいます。

2016年にはNEDOの委託事業に採択されたことから、山梨県、東レ、東京電力ホールディングス、東光高岳の4者で太陽光発電の余剰電力を気体燃料に変換して貯蔵する「Power To Gas」システムの開発や実証研究などにも取り組んでいます。

また、米倉山太陽光発電所にはPR施設である「ゆめソーラー館やまなし」も開館され、再生可能エネルギーや次世代エネルギーに関する展示、太陽光パネルを見学できる遊歩道も整備されています。

このような環境学習の場を提供することで再生可能エネルギーに関する理解を深め、地域経済の活性化にも貢献しています。

 

世界の太陽光発電の導入状況

太陽光発電は世界的にも導入が進んでおり、導入率も好調に推移しています。

国際エネルギー機関の発表によると、太陽光発電所の本格的な市場が始まった2005年から2021年まで毎年導入は増加しており、特に2010年ごろから大幅な増加率を見せています。

このデータから太陽光発電を含む再生可能エネルギーの普及促進は、国際的な取り組みであることが分かります。

なお、2021年の年間導入量上位10カ国は下記のようになっています。

順位

国名

年間導入量(2021年)

1位

中国

54.9GW

2位

米国

26.9GW

3位

インド

13GW

4位

日本

6.5GW

5位

ブラジル

5.5GW

6位

ドイツ

5.3GW

7位

スペイン

4.9GW

8位

オーストラリア

4.6GW

9位

韓国

4.2GW

10位

フランス

3.3GW

中でも中国の導入量が圧倒的で2位以下に大きな差をつけていますが、日本も国土面積の狭さを考えれば善処しているといえるでしょう。

日本は世界でも有数の太陽光発電導入国なのです。

 

まとめ

本記事では、「太陽光発電はエコじゃない」という誤解を解消して、日本が抱えるエネルギー問題や太陽光発電への期待、そして太陽光発電のエコな点などを解説しました。

太陽光発電を含む再生可能エネルギーは、世界的に見ても年々増加しており、地球環境やエネルギー事情から考えて、普及促進が停滞することはないでしょう。

石油、石炭などの資源には限りがあり、このまま使い続けると枯渇することは目に見えているのです。

本文でも紹介しましたが、日本は太陽光発電の導入量が多い国で、一般住宅への導入も増加しています。近年の電気料金高騰という事実も踏まえて、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

サンエーは、家庭用太陽光発電の設置を承っています。導入の設計から施工はもちろん、導入後のアフターフォローまでワンストップでトータルサポートいたしますので、安心してお任せください。

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この記事を書いた人

本田陸

本田陸

株式会社サンエー マーケティング部所属。2022年より企業向けの環境に関するコラムの執筆を開始しました。マーケティングの分野に関して、中学校での職業講話に登壇させていただきました。脱炭素化社会の構築に向けて、環境に関する情報を発信しております。趣味は筋トレとオンラインゲームで、社内のe-sports部で社会人向け大会にも出場しました。