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欧州議会が2030年までにEU加盟国に温室効果ガス削減を義務化

欧州議会が2030年までにEU加盟国に温室効果ガス削減を義務化

EUは、2021年7月14日に「Fit for 55」という政策パッケージを発表しました。このパッケージには、欧州気候法と呼ばれる規制枠組みが含まれており、その目的はEU全体での温室効果ガス排出量の大幅な削減を目指すことです。具体的には、2030年までにEU全体での実質温室効果ガス排出量を1990年比で少なくとも55%削減することを目指しています。

これは、EUがこれまで掲げていた目標よりも大幅に厳しい目標です。以前の目標は、2020年までに1990年比で20%削減することでした。新しい目標は、この目標の約3倍に相当します。また、新しい目標は、EUが気候変動に対して取り組む上で、科学的に必要なレベルであると考えられています。欧州気候法には、さまざまな取り組みが含まれています。

これらの取り組みには、欧州炭素市場の拡大、二酸化炭素の税金化、エネルギー効率の改善、再生可能エネルギーの普及促進などが含まれます。これらの取り組みにより、EUは新しい目標を達成するために必要な努力を行っています。EUが新しい目標を達成することで、気候変動に対する取り組みが加速されることが期待されます。これは、世界中で温室効果ガス排出量を削減するための努力の一環となり、地球温暖化を防止するために必要な措置の一つとなります。

 

EUがこれまで掲げていた目標

EUがこれまで掲げていた目標は、2020年までにEU全体での温室効果ガス排出量を1990年比で20%削減することでした。これは、2007年にEUが掲げた「20-20-20目標」の一環であり、再生可能エネルギーの割合を20%に増やすという目標と、エネルギー効率を20%改善するという目標も含まれていました。この目標は、気候変動に対するEUの取り組みの一環として、重要な役割を果たしました。

日本への影響はある?

「Fit for 55」政策パッケージは、EUが温室効果ガスの排出量を削減するための包括的な枠組みであり、その実施により、日本との貿易やビジネスにも影響を与える可能性があります。

具体的には、EUがより厳格な炭素税や排出取引制度などの規制を導入することで、EUと日本の取引においてCO2排出量が影響を与えることが考えられます。また、EUが再生可能エネルギーやエネルギー効率改善などの分野で技術の開発を促進することで、日本の関連産業や企業にも影響を与える可能性があります。

加えて、「Fit for 55」政策パッケージには、輸入品についてのCO2排出量規制も含まれています。これにより、EUが輸入品のCO2排出量に対してより厳格な規制を導入する場合、日本の輸出業界にも影響を与える可能性があります。

ただし、EUが採用する政策が日本にどのような影響を与えるかは、具体的な政策の内容やその実施方法に依存するため、詳細な情報が必要となります。

 

日本がすべき対策

日本は、EUの「Fit for 55」政策パッケージに対応するために、以下のような対策を検討することが考えられます。温室効果ガスの排出量削減目標の見直し: 日本は、今後の気候変動対策として、より厳格な目標を設定することを検討することが重要です。

また、従来型の産業から持続可能な低炭素型産業への転換を促進し、温室効果ガスの排出量削減を進めることも重要です。再生可能エネルギーの促進: 再生可能エネルギーの普及促進は、CO2排出量削減に効果的な手段であり、EUの政策に対応するためにも、日本も再生可能エネルギーの開発・導入を積極的に進める必要があります。グリーンテクノロジーの開発: EUがグリーンテクノロジーの開発に注力することで、新しいビジネスチャンスが生まれる可能性があります。

日本企業も、EUに対抗するグリーンテクノロジーの開発を進め、新たなビジネス機会を探る必要があるかもしれません。輸出品のCO2排出量の低減: EUが輸入品についてのCO2排出量規制を導入することが予想される場合、日本の輸出業界にも影響を与える可能性があります。日本の企業は、輸出品のCO2排出量を低減するための取り組みを進めることが必要です。これらの対策を進めることで、日本もEUの「Fit for 55」政策パッケージに対応し、低炭素社会の構築に向けて貢献することができると考えられます。

 

特に対策が必要な日本の業種は?

EUの「Fit for 55」政策パッケージに対応するため、日本において特に対策が必要な業種はいくつか考えられます。

自動車産業

EUは、2035年までに新車販売においてゼロエミッション規制を導入することを目指しており、自動車産業に対するCO2排出削減要件が高まることが予想されます。日本の自動車メーカーは、より低燃費・低CO2排出の自動車の開発を進めることが求められます。

鉄鋼業

EUは、鉄鋼業に対して、今後もCO2排出量を減らすよう求めています。日本の鉄鋼業界は、鉄鉱石の代替品や低CO2排出型の製鋼技術の開発などを進め、CO2排出量の削減を図る必要があります。

エネルギー業界

再生可能エネルギーへの移行が進む中、日本のエネルギー業界も、より多くの再生可能エネルギーの導入や、エネルギー供給の効率化を進め、CO2排出量の削減を図る必要があります。

輸出業界

EUが輸入品に対するCO2排出量規制を導入することが予想されるため、日本の輸出業界は、CO2排出量の低減に取り組む必要があります。

以上のように、EUの「Fit for 55」政策パッケージに対応するためには、自動車産業、鉄鋼業、エネルギー業界、輸出業界など、様々な業種が対策を取る必要があると言えます。

 

日本以外に影響がある国は?

EUの「Fit for 55」政策パッケージは、EU加盟国のみならず、世界中に影響を与えるものとされています。以下に、EU以外でも影響があると考えられる国をいくつか挙げてみます。

アメリカ合衆国

アメリカも、気候変動対策の強化を進めており、2021年4月には、バイデン大統領が「気候サミット」を開催し、温室効果ガス排出量の削減を目指す方針を示しました。EUがより厳しい排出削減目標を掲げることで、アメリカも気候変動対策の強化を進めることが期待されます。

中国

世界最大の温室効果ガス排出国である中国は、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率化を進めるなど、温室効果ガスの排出削減に取り組んでいますが、EUの「Fit for 55」政策パッケージによって、中国の排出削減目標をより高い水準に引き上げることが求められる可能性があります。

インド

インドも、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率化を進めるなど、温室効果ガスの排出削減に取り組んでいますが、人口が多いため、エネルギー需要が急速に増加しています。EUの「Fit for 55」政策パッケージによって、インドの排出削減目標をより高い水準に引き上げることが求められる可能性があります。

以上のように、EUの「Fit for 55」政策パッケージは、世界中の国々に影響を与え、気候変動対策の強化が求められることが予想されます。

この記事を書いた人

横山真吾

横山真吾

2021年よりマーケティング部に所属し、広報業務も兼任。自社の活動内容が日本経済新聞や各種業界誌にも取り上げていただきました。2022年には業界では初の自家消費太陽光発電システムの全額返金保証制度等、様々な企画を行ってきました。 趣味はオンラインゲーム。eスポーツの社会人リーグ「AFTER 6 LEAGUE」にも参戦しました。

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