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保安規制が強化!新制度の変更点を解説!

2023年の3月に太陽光発電所の保安規律が変わる法律が施行されます。

令和4年6月15日に成立した電気事業法の改正にともない、令和5年3月20日に施行が予定されている電気事業法において、3制度の導入が決まりました。

今回はそれぞれについて解説していきます。

保安規制の強化

10kW以上50kW未満の太陽光発電は「小規模事業用電気工作物」に分類され、「技術基準適合維持」、「基礎情報届出」、「使用前自己確認」の義務を新たに負うことになります。施行日は2023年3月20日となっています。

届出を行わない、もしくは虚偽の届出を行った場合、電気事業法第120条第1号に基づいて30万円以下の罰金という罰則が定められています。

 

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技術基準適合維持義務の対象が拡大

技術基準適合維持義務の対象が拡大され、従来太陽光発電設備では50kW以上の設備に課せられていた電気工作物が技術基準に適合した状態を維持する義務について、小規模事業用電気工作物(太陽電池:10kW 以上50kW 未満、風力:20kW 未満)も対象となります。

現行制度でも、「技術基準に適合させる義務」はありましたが、これからは「適合状態を維持すること」が求められます。

 

基礎情報届出が新設され義務化

「基礎情報届出」は、所有者情報や設備に係る情報、保安管理を実務的に担う者等の基礎的な情報を届け出ます。基礎情報届出の制度が新設され、小規模事業用電気工作物も基礎情報の届出が義務となります。

小規模事業用電気工作物の設置者がおこなう「基礎情報の届出」とは、他の事業用電気工作物における、電気主任技術者の選任や保安規定作成の代替という位置づけがなされています。そのため、届出の内容には、設置者にかかる情報の他、保安体制の確認ができることが必要です。

また、基礎情報の届出は、既設の設備も対象になります。施行から6か月以内の届出提出が必要となりますので、注意が必要です。紛らわしいと思われる「設置者」についてまとめました。

 

オンサイトPPAの場合(屋根上に0円で設置し、電気代で支払うモデル)

PPAモデルで導入する場合、PPA事業者がメンテナンスなど管理を行っているのが一般的です。その場合、PPA事業者が設置者として届け出ることになります。

 

設備をリースで設置している場合

需要家・発電事業者がメンテナンスなど管理しているのが一般的と思われます。この場合は需要家・発電事業者が設置者として届け出ることになります。

 

基礎情報届出の対象設備

太陽光発電:10kW以上50kW未満

新設設備/既設設備いずれも

地上設置/屋根上設置いずれも

FIT認定有/無いずれも

売電型/自家消費型いずれも

 

基礎情報届出 施行時点の設備の状況による届出要否

全ての10kW〜50kWの設備が届け出る必要があるわけではなく、設備の使用状況などにより届出要否は異なります。以下の3パターンにより設備の状況を確認します。

① 施工(2023年3月20日)以降に使用を開始する設備

■使用開始前

基礎情報の届出が必要です。使用を開始する前に届け出、受理された後に使用を開始する必要があります。

■変更時

以下のような変更をする際は、遅滞なく(=できるだけすぐに)届出が必要。(他のパターンも同じ)

  • 基礎情報に変更があるとき
    例)住所変更や代表者の変更など小規模事業用電気工作物には該当しなくなるとき
    例)廃止するとき、出力を変更して小規模事業用電気工作物の範囲(10〜50kW未満)外になるとき

② 施行(2023年3月20日)時に既設・使用中のFIT設備

■施行時

基礎情報届出は不要です。認定で届出済の情報と重複する部分も多く、手続き負担の軽減のため、施行時の届出は不要となりました。

■変更時

以下のような変更をする際は、遅滞なく届出が必要。(他のパターンも同じ)

  • 基礎情報に変更があるとき
    例)住所変更や代表者の変更など小規模事業用電気工作物には該当しなくなるとき
    例)廃止するとき、出力を変更して小規模事業用電気工作物の範囲(10〜50kW未満)外になるとき。FIT認定を受けている設備は、変更がなければ基礎情報届出は不要ということになります。

③ 施行(2023年3月20日)時に既設・使用中のFIT認定を受けていない設備

例えばすでに使用中の発電電力を全量自家消費する太陽光発電など

■施行時

施行から6ヶ月以内(2023年9月19日まで)に基礎情報届出が必要。

■変更時

以下のような変更をする際は、遅滞なく届出が必要。(他のパターンも同じ)

  • 基礎情報に変更があるとき
    例)住所変更や代表者の変更など
  • 小規模事業用電気工作物には該当しなくなるとき
    例)廃止するとき、出力を変更して小規模事業用電気工作物の範囲(10〜50kW未満)外になるとき

 

使用前自己確認の対象が拡大と義務化

使用前自己確認の対象について

使用前自己確認結果届出の、届出をすべき対象者は設置者になります。販売、施工事業者やO&M事業者による代行申請はできませんのでご注意ください。

詳しい使用前自己確認の対象は、電気事業法施行規則の別表第6及び別表第7で定められています。 新設の場合は、発電所全体について、変更の場合は、変更した箇所について、使用前自己確認の対象となります。

■新設の場合(別表第6)

2.太陽電池発電所・・・出力500kW以上2,000kW未満のもの

3.風力発電所・・・・・・・出力20kW以上500kW未満のもの

■変更の場合(別表第7)

3.太陽電池発電所

一 出力500kW以上2,000kW未満の発電設備の設置
二 発電設備の設置以外の変更であって次に掲げるもの
(1) 出力500kW以上2,000kW未満の太陽電池の設置
(2) 出力500kW以上2,000kW未満の太陽電池の取替え
(3) 出力500kW以上2,000kW未満の太陽電池の改造であって次に掲げるもの
イ 20%以上の電圧の変更を伴うもの
ロ 支持物の強度の変更を伴うもの
(4) 出力500kW以上2,000kW未満の太陽電池の修理であって、支持物の強度に影響を及ぼすもの

4.風力発電所

一 出力20kW以上500kW未満の発電設備の設置
二 発電設備の設置以外の変更であって,次に掲げるもの
(1) 出力20kW以上500kW未満の発電設備に係る風力機関の設置
(2) 出力20kW以上500kW未満の発電設備に係る風力機関の改造であって、次に掲げるもの
イ 回転速度の変更又は5%以上の出力の変更を伴うもの
ロ 風車又は支持物の強度の変更が伴うもの
ハ 調速装置又は非常用調速装置の種類の変更を伴うもの
三 出力20KW以上500kW未満の発電設備に係る風力機関の取替え
四 出力20kW以上500kW未満の発電設備に係る風力機関の修理であって、次に掲げるもの
(1) 調速装置又は非常調速装置の取替え
(2) 風車又は支持物の強度に影響を及ぼすもの

 

使用前自己確認の方法

使用前自己確認は、使用前自主検査及び使用前自己確認の方法の解釈にしたがって実施してください(経済産業省)。

 

使用前自己確認結果届出書の提出時期

電気事業法51条の2において、設置者は、使用開始前に使用前自己確認を実施し、その結果を主務大臣(電気工作物を管轄する産業保安監督部長)まで提出しなければならない旨が定められています。届出前に使用開始することがないようご留意ください。

※「使用開始前」とは、送配電事業者や既存設備との連系前ではなく、正式な「使用を開始」(売電や自家消費の場合、発電電力の使用を開始する)前です。

連系を行わなければ、試験できない項目もあります。

 

まとめ

保安規制についてまとめましたが、かなり複雑なものになってしまいました。特に、基礎情報の届出と使用前自己確認届出に留意する必要があります。

もし少しでも興味をもった方は、下記のリンク先を参考にしていただけると幸いです。

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この記事を書いた人

本田陸

本田陸

株式会社サンエー マーケティング部所属。2022年より企業向けの環境に関するコラムの執筆を開始しました。マーケティングの分野に関して、中学校での職業講話に登壇させていただきました。脱炭素化社会の構築に向けて、環境に関する情報を発信しております。趣味は筋トレとオンラインゲームで、社内のe-sports部で社会人向け大会にも出場しました。