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【太陽光発電】パネル価格&設置費用の相場は?負担を抑える方法をご紹介!

太陽光発電システムの肝は、なるべく高効率な発電効率で運用する点と、どれだけ設置の費用を抑えることができるかにかかっている、といっても過言ではありません。

そのためには、検討している場所に設置する場合、どれくらいの費用がかかるかを事前に把握しておく必要があります。また、費用負担を抑えるには最初にどのメーカーの設備を購入するかも重要です。

こちらの記事では、太陽光発電の導入を検討されている方がまず注意すべき点や運用するにあたって見込まれる発電量などをご紹介していきます。ぜひご参考ください。

太陽光発電に必要な設備

太陽光発電で使う設備といえば「太陽電池パネル」を思い浮かべる方も多いかと思いますが、 実はパネルは太陽光発電を行なうための設備のあくまで一部品です。

太陽光発電には他にも必須な物から状況に応じて必要になってくる物まで、さまざまな機器があります。

 

太陽電池パネル

太陽光を吸収し電力に変換する装置が太陽電池パネル(モジュール)です。太陽光発電の肝とも呼べる設備であり、基本的に太陽光発電システムの発電量は太陽電池パネルの発電効率と面積で決まります。

一般的な家庭用太陽電池パネルはシリコンや化合物でできていて、特性や発電効率・価格に大きく関わる要素です。

導入を検討する場合、まずは検討中のパネルの素材は何を使用しているのか、太陽光を遮る物がない場所に何枚のパネルを設置できそうかに注目すると、導入後も太陽光発電システムを効果的に運用できます。

 

パワーコンディショナー

電流には時間経過によって方向が変化する交流電流と、変化しないままの直流電流があり、太陽光発電でつくられる電力は直流電力です。

一方、家庭で使われている電力は交流電流ですので、太陽電池パネルで発電された直流電力は、交流電力に変換する必要があります。その役割をはたして電力を住宅内に分配するための装置がパワーコンディショナーです。

パワーコンディショナーには室内に設置するタイプと室外に設置するタイプがあり、どちらにもメリットデメリットがあります。また太陽光発電では電力変換の際にロスが出ますが、変換効率はパワーコンディショナーの性能に関わってきます。発電効率にこだわるのであれば、太陽電池パネルの発電効率だけでなくパワーコンディショナーの変換効率にも注目するとよいでしょう。

 

分電盤

分電盤は住宅や商業ビルなどにも設置されており、一般的に「ブレーカー」と呼ばれていますので、そちらの方が聞きなじみがあるかもしれません。

分電盤はコンセントなど各部屋で使う電気を分配するために設けられています。その他にも電気の使い過ぎや漏電を防ぐ役割もあり、電気を安全に使用するうえで非常に重要な装置です。太陽光発電においても同様の目的で使用され、パワーコンディショナーにつなぐ専用の分電盤を使用します。

近年はスマートHEMS、IH、エコキュートなどにも対応している機種もあり、分電盤に何を使用するのかも太陽光発電システムの重要な要素です。

 

蓄電池

太陽光発電は太陽が出ている際にその光を電気に変換して発電するシステムですが、これだけでは電気を貯めておくことはできません。夜間や雨・曇りなどの天候時でも電気を使うためにはどこかに発電した電気を貯めておく必要があります。蓄電池はそのための設備で、種類によって容量や製品寿命などはさまざまです。

鉛蓄電池は150年以上の歴史がある蓄電池で信頼性が高いので、現在でもさまざまな分野で使用されています。容量あたりの価格が安く寿命が長い点が特徴ですが、重量は重く使用する環境によっては破損や劣化が早まるのが懸念点です。

ニッケル水素電池は頑丈で放電性能が安定しており、使用できる温度や充電・放電の速度、一度に放出できる容量も大きい点がメリットとなります。弱点は電力を使い切らないで充電するとメモリー効果で最大容量が低下することです。

スマートフォンやノートパソコンなどでよく使われているリチウムイオン電池はメモリー効果が起こらず、多くの電気を蓄えられることで現在の蓄電池の主流になっています。小型で軽量なため持ち運びがしやすいのもメリットです。ただしリチウムイオン電池は高温環境下に弱く劣化が激しくなるので、長く使い続けるには高温化では使用しないなど、環境に気を付ける必要があります。

NAS電池は大規模な施設で用いられる産業用蓄電池で、大容量な点が特徴です。鉛電池と同等の寿命の長さがあります。従来の蓄電池と比較して小型化できるなど取り回しも良好です。注意点としては危険物指定されている物質を使用していることや、動作温度が限られていることから安全性に配慮する必要があります。

 

架台

太陽電池パネルを設置するのには支えるための架台が必要です。

どのような架台を使うかは設置場所の形状や材質によって異なり、屋根の上であれば屋根形状や屋根材に合わせた架台を設置してから太陽電池パネルを設置します。そのため場所によっては架台が設置できず、検討していた太陽光発電システムを導入できない場合なども起こり得るので、設置場所の検討時に考慮すべき設備です。

どのような屋根形状や地形にどの種類の架台が必要になるかは、施工会社などに事前に確認しておくと太陽光発電システム導入後の外観などが明確になります。

 

接続箱

太陽電池パネルとパワーコンディショナーとをケーブルで接続し、パネルで発電した電気をパワーコンディショナーに送る装置です。

物によってはパワーコンディショナー一体型や、複数枚の太陽電池パネルを設置する場合に起こりがちな電圧の差を合わせる昇圧機が一体になっている物もあります。

その他逆潮流防止対策機能が備わった接続箱もあり、パワーコンディショナーなど機器の故障を防止するためにも接続箱の機能が重要です。

 

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太陽光発電の種類別発電効率

太陽光発電でよく聞く言葉に「セル」という用語があります。

セルとは、太陽電池パネルの最小単位で1辺が10センチメートルになっている部材です。このセル1枚あたりの太陽光を電気に変換する効率をセル交換効率と呼びます。

セル変換効率はセル同士をつないだ時の電気抵抗を受けないので、太陽電池パネル全体の変換効率よりも高い効率になるのが一般的です。高く出やすいセル変換効率をモジュール変換効率(パネル全体の変換効率)として紹介されている場合もあるので、パネルを選択する際には注意がいります。モジュール変換効率を見る際は以下の式です。

パネル全体の変換効率=パネルの最大出力(W)÷面積(平方メートル)×(1,000W/平方メートル)×100

2022年12月現在販売されている太陽電池パネルの変換効率は、太陽光発電システムの種類やメーカーによって違いますが、おおよそ8%~25%の間に落ち着きます。

 

ソーラーパネルの種類と価格

ソーラーパネル(太陽電池パネル)には、シリコン系、化合物系、有機系という種類があり、このうち最も普及しているのはシリコン系です。

シリコン系はさらに単結晶シリコン・多結晶シリコン・アモルファスシリコン・ヘテロ接合型シリコンに分類されます。単結晶シリコンは最も歴史がある太陽電池パネルで、高出力かつロスが少ない発電力が特徴です。

面積が小さくても多くの発電量を得られますがそれゆえ価格が高く、また機能面でも高温に弱いので真夏などに発電効率が低下してしまうデメリットもあります。単結晶シリコンの端材や規格外の原料を使いより安価に製作されるのが多結晶シリコンです。それだけに、単結晶シリコンより発電効率という意味では劣ります。面積あたりの発電量をカバーできる広い土地での運用に適しており、広い場所で費用対効果を考慮して運用する方法が効果的です。

アモルファスとは、原子や分子が不規則に密集している状態のことをいいます。

アモルファスシリコンは特定の結晶構造を持たないシリコンを、ガラスや金属片の基盤に薄く張り付けたタイプのパネルです。変換効率は悪いものの軽量で加工しやすく安価に生産できるほか、気温の高い日でも変換効率が落ちることはありません。

ヘテロ接合型は異なる種類のシリコンを合わせたハイブリッド型シリコンです。熱に強く夏場でも変換効率を維持でき、単結晶シリコンと比較しても高い変換効率があります。一方で、構造が複雑で製造コストが高くなるので、価格帯としては高い分類です。

化合物系としては銅やインジウム、セレンを原料とするCIS系やこれにガリウムを加えたCISG系、カドミウムとテルルを原料としたCdTe系があります。CIS系、CIGS系ともに発電量に課題がありますが、高温時でも発電効率の低下が少なく低コストで製造できるため、今後主流になると予想される方式です。

CdTeは発電効率やコストパフォーマンスが良く欧米で普及している方式ですが、有毒物質であるカドミウムが必要な点がネックで日本では製造されていません。その他人工衛星に用いられるなど分野によっては他の方式も使われていますが、家庭用としての選択肢としては上記の方式となります。

パナソニック

パナソニックの太陽光発電システムで人気が高いのは「HIT」シリーズで、電極と単結晶シリコン・アモルファスシリコンの3重構造である点が特徴です。一般的な太陽電池パネルよりも発電効率が約5%高く、発電効率19.9%で出力255kWと高い性能を発揮しています。

また、パナソニックは他社と比較して無償保証が充実しており、パネルは25年、周辺機器保証は15年です。他の多くのメーカーが周辺機器保証10年、有償で5年追加という保証内容であるのと比較しても安心して設置できます。

1kWあたりの価格相場としてパナソニック製のパネルを設置する場合274,000円 ~ 323,000円ほどです。高級なパネルというイメージの強いパナソニックですが、現在では価格も下がり入手しやすくなっています。

シャープ

シャープの太陽光発電は信頼性が高く、単結晶シリコン中心のパネルのため効率にも優れているほかに積雪の多い地域でも対応している点が特徴です。

シャープの太陽電池パネルの中で最も発電量が高いブラックソーラーは、表面の構造を工夫し太陽光を受ける面積を最大化しています。さらに送発電時のロスを抑えた内部構造で、モジュール効率は業界トップクラスの19.6%です。1kWあたりの価格相場は273,000円 ~ 299,000円ほどとなります。

京セラ

京セラの住宅用太陽光発電システムは、おもに2種類の太陽電池パネルが使用されています。

  • エコノルーツ タイプL
    発電効率18.5~18.8% 最大出力250~315W
  • ルーフレックス
    発電効率14.9~18.5% 最大出力87~270W

エコノルーツ タイプLの特徴は発電量が大きい点と一般家庭の屋根のような狭いスぺースでも十分に効果を発揮するパネルである点です。取付け金具も軽量化されたものなので屋根への重量負担も軽減されています。

ルーフレックスは、京セラの新技術を採用して発電量をアップさせつつさまざまなタイプの屋根にフィットできる柔軟性も特徴です。1kWあたりの価格相場は307,000円 ~ 385,000円となります。

ソーラーフロンティア

ソーラーフォロンティアの太陽光発電システムは CIS方式のパネルです。特徴としては1kWあたりの価格が安く発電量も多い点で、産業用としても人気が出ていました。

ソーラーフロンティア(標準タイプ)で発電効率は15.1%、ソーラーフロンティア(smaCIS)で13.9%と単結晶シリコンやヘテロ接合型と比較すると確かに発電効率は悪いです。ですがその分価格も安いので、1kWあたりの単価で250,000円から277,000円と、大手と比較して安価に仕上げることができます。

長州産業

長瀬産業が家庭向けに販売する太陽光発電システムがeneEase(エネイース)です。

太陽電池パネルには、発電ロスを最小限に抑えるヘテロ結合型のGシリーズ、軽量・コンパクト・高効率な単結晶Bシリーズ、コストと発電ロスを低減するアモルファスシリコン製のHITモジュールの3シリーズを展開しています。

Gシリーズは変換効率19.0~19.5%、価格が183,000円から20,8000円

単結晶Bシリーズは変換効率15.2~18.5%で価格が72,600円から180,900円

HITシリーズは変換効率19.5%で173,000円となっています。

1kWあたりの単価でいうと247,000円から296,000円ですので、費用対効果に優れたメーカーといえるでしょう。

エクソル

エクソルは2019年頃からシェアを拡大し、それまで1%以下だったシェアが2020年に2%を超え2021年には7%と急激に拡大している太陽光発電システム企業です。

エクソルのパネルの特徴は少ない枚数でも稼働できる点です。通常の太陽電池パネルは、3枚~5枚は設置しなければ電圧が上がらず稼働しません。そのため、他社の場合は1枚~2枚しか乗せられない屋根では設置できませんでした。

しかし、エクソルであれば低電圧でも動作するマイクロインバータを搭載しているので、パネル1枚でも設置可能となっています。エクソルの代表的な商品である「単結晶マルチバスバーモジュール」のは、変換効率20.0%、1kWあたりの単価は238,000円から262,000円です。

 

ソーラーパネル1kwあたりの価格

一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)の資料によると、家庭用太陽光発電システム1kWを設置した場合の1年間の発電量は約1,000kWhとなります。また、2021年4月に発表された太陽光発電産業のコンサルティング企業である資源総合システムが2021年4月に発表した太陽光発電設備の導入価格は1kWあたり約290,000円です。

多くの企業で保証期間としている15年間では約15,000kWh発電します。つまり導入価格である29万円を15年間の総発電量である15,000kWhで割ると、導入コストは1kWhあたり約19円です。
これを現行の大手電力会社から購入する電気代と比較します。

公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が、新電力料金目安単価として示している価格1kWhあたり税込み27円です。つまり大手電力会社から電気を買うよりも太陽光発電システムを導入して発電したほうが安くなります。もちろんこれはあくまで目安であり、日本全国同様にメリットが大きいとはいえません。

実際に土地や天候の状態、太陽光発電システムの機種によって条件は変わります。ですが設置する場所の条件を吟味すれば電気を買うコストより太陽光発電で電気をつくるコストの方が安いです。

 

太陽光発電の耐用年数は?

太陽光発電でカギになるのが太陽電池パネルの性能ですが、パネルの耐用年数は一般的に30年ほどであるといわれています。ただし表面をガラスや充填剤で保護していて機械製品のように可動部がなく機械的な故障とは無縁です。そのため実際は50年程度は問題ないとの意見もあり、定説となる結論はいまだ出ていません。

一方で、架台やケーブル、分電盤などの設備は腐食や内部の機械劣化などが起こるので定期的なメンテナンスや部品交換は必要になります。しかしパネルが長期間使用できるのであれば数10年単位の長期運用も十分に可能となります。

ただし太陽光発電システムの発電効率を決めるのはパネル表面の状態次第という点は気を付けなければいけません。汚れや傷があると効率は落ちてしまうので、高効率で運用したいのであればパネル表面をいかにきれいな状態に保てるのか、定期的なメンテナンスや設置場所の選定が重要になるでしょう。

また、太陽光発電で故障などトラブルが多かった設備がパワーコンディショナーです。そのため、太陽光発電が出始めた頃のパワーコンディショナーの製品寿命は10年ほどとされ、「太陽光発電は短期で使用できなくなる」という風潮をつくってしまいました。

現在では技術の進歩で耐用年数も伸び、故障などのトラブルも少なくなっているので、過去の情報をもとにした風潮とは乖離が見られます。

 

太陽光発電の義務化はいつから?

現在国は2050年の脱炭素に向けて政策を進めているので、今後は太陽光発電を義務化する動きが日本全体で進むかもしれません。具体的には2030年度の温室効果ガス発生量を2013年度比で46%削減と電源構成の再生可能エネルギー比率36~38%を目指しています。

現状では具体的な政策や法改正は見送っていますが、現在日本では火力発電がおもな発電方式です。火力発電による二酸化炭素排出量を考えても目標達成は遠く、2030年までに太陽光発電の設置が義務化される可能性は高いでしょう。国に先行して太陽電池パネル設置義務化を表明している自治体は現在のところ、東京都と群馬県・京都府、神奈川県川崎市です。

東京都はハウスメーカーなどの事業者を対象に、新築物件への太陽電池パネル設置の義務化し、25年4月の施行を目指しています。

京都府は2020年に「建築物への再エネ設備の導入義務制度」という条例を制定済みです。この条例により延べ床面積300平方メートル以上2,000平方メートル未満、2,000平方メートル以上の建築物に対する再生可能エネルギー設備の設置を義務としています。

また、川崎市は現在太陽光発電の設置義務化に関する条例案の議論を進めており、24年4月の制定予定です。

その他、群馬県では条例で一定規模以上の設備に対する再生可能エネルギー設備設置義務化が明記され、延べ床面積2,000平方メートル以上の建築物を新築もしくは増改築する場合に太陽光発電などの再生可能エネルギー設備を設置する必要があります。

このように地方自治体が先行して進めている太陽光発電の義務化ですが、全国でも同様に進むことが考えられるので、現在導入を検討していない方であっても他人事ではありません。

 

導入費用の相場

前述のとおり経済産業省のデータを参照すると、太陽光発電の新築への設置費用は2021年度の場合で1kWあたり平均28万円です。住居用の太陽電池パネルの容量は3~5kWが多いため設置費用の相場は84万~140万円となります。しかしあくまで平均や目安であり、設置条件などにより金額は大きく異なります。

 

太陽光発電に必要な設備と設置費用

太陽光発電を導入するためには、肝である太陽電池パネル以外にもパワーコンディショナーや架台といったさまざまな設備が必要です。そのためそれぞれの費用や工事費を合算したものが設置費用として必要になります。

過去の例を見ると、2012年や2013年の設置費用は、1kW40万円台でした。現在20万円台であることを考えると10年ほどで半額近くから7割まで下がっていることがわかります。

値下がりの経緯を見ると、2014年以降毎年1~3万円ほどのペースで安くなってきて、2020年に初めて30万円を下回りました。これは太陽電池パネルを製造する技術が進歩し価格が安くなったこともそうですが、必要となるパワーコンディショナーや工事費も下がっているために起こっています。

なお、2022年度の設置費用は、1kWあたり25.9万円程度で想定されていて、初めて26万円を下回る予想です。

設置面数が増えると高くなる

一般的に太陽光発電システムの設置費用を大きく左右する要素が設置する太陽電池パネルの面積になります。パネルを増やせば発電量が増える一方で設置費用もかかるので、初期投資としての総額は高くなります。そのため、予算と見込まれる発電量を計算して、どれくらいの金額をかけるのかを最初に計画することが必要です。

屋根面積に応じた太陽光発電の設置費用の相場としては、よく「3kWで84万円」「5kWで140万円」「10kWで280万円」とされています。しかし、これはあくまでも経済産業省が発表した太陽光発電の新築への設置費用が1kWあたり平均28万円であったことをもとに正比例させたデータにすぎません。

実際に設置面積を増やすことで増える費用は条件や施工会社などにより異なるので、正確にシミュレーションする上でも一度太陽光発電システムの販売会社や施工会社に確認するとよいでしょう。

足場設置が必要だと高くなる

2021年度の設置費用は新築28万円、あと付け30.2万円と1kWあたり2.2万円の差が生じています。

これは、あと付けの場合、設置するのに必要になる足場などが余計に必要になるためです。足場が必要になる場合は、足場がない場合と比較して10~15万円程度追加でかかる傾向にあります。

設置工法によって変わる

代表的な設置費用の内訳を見るとパネルにかかる費用が約6割、工事費が約2割を占めていることがわかります。

kWあたりの太陽光発電システム費用の平均
パネル費用 約20万円
パワーコンディショナー費用 4.5万円
架台費用 2.3万円
工事費 6.5万円
その他雑費 0.3万円
値引き価格 -2.4万円
合計 30.6万円

参考資料:「令和2年度の調達価格等に関する 意見(案)」 経済産業省 調達価格等算定委員会

同じ発電量設置する屋根の面数が増えたりパネルの固定方法が違ったりと、工事の手間の程度も異なります。

パネルの固定方法は、支持瓦工法、支持金具工法、アンカー工法といった施工が特に費用が高くなる工法です。また施工後の安全性などをより重視すると部品点数も増加し、設置費用は高額になります。予算と安全面、そして設置場所の難易度などを天秤にかけながら最適の施工方法を探しましょう。

 

メンテナンスなどのランニングコスト

太陽光発電の効率を高く維持するためには、パネル表面に異物がないよう定期的にメンテナンスをする必要があります。また、その他の設備に関しても同様に必要ですが、こうした点検やメンテナンス作業を素人が行なうことは難しく、有資格者・専門業者に委託するのが一般的です。

検査の内容としては、製品の不具合や運転の点や電圧測定や絶縁抵抗測定といった測定を実施し、問題なく稼働しているのかのチェックを行ないます。場合によっては設備の修理・交換対応なども必要です。

委託費用は頻度や対応する範囲や内容、その他の要因で大きく変わるので一概にはいえませんが、2021年度のデータによると、1回あたり平均2.8万円ほどになります。メンテナンス費用は太陽光発電システムを使い続ける限り必要ですので、ランニングコストを見込んで運用の計画は立てましょう。

 

保険料

屋根など屋外に設置する太陽光発電システムは、自然災害の影響を受ける可能性が高い設備です。近年も山林を切り開いて設置した大規模太陽光発電システムが、地震などの影響で使用不能になったというニュースを目にする機会も増えてきたかと思います。今後同様のことが家庭用でも起きる可能性は高いでしょう。

保険と混同してしまいがちなメーカー保証ですが、製造上の不具合に対する保証ですので、自然災害や損害は保証対象外です。一部のメーカーの保証に災害補償が付いている場合もありますが、基本的には自然災害や損害の補償は保険への加入する必要があります。

保険の目安として、動産総合保険の年間保険料の相場は初期費用の2.5%〜3.5%、その他の保険であれば初期費用の0.3〜3%程度が目安です。保証される内容と保険料を見比べ、無理のない範囲で保険に加入することをオススメします。

 

解体撤去費用

太陽電池パネル自体の耐用年数は長いものの、その他の設備の老朽化や住宅のリフォームなどで太陽光発電システムを撤去しなければならないこともありえます。

そこで注意しなければならないのが、太陽光発電システムで使う設備には有害物質である鉛、カドミウム、セレンなどが含まれており、勝手に撤去し廃棄はできない点です。法令やガイドラインを遵守した廃棄処分を行ない、リユースできる製品や部品をリサイクルするなどの対応が必要となります。

また、システムで使用している設備の材料は異なるので処分方法や費用も一様ではありません、まずは設置業者や解体業者などに相談するとよいでしょう。

必要な情報は一般社団法人太陽光発電協会の「使用済太陽電池モジュールの適正処理に資する情報提供のガイドライン」で、太陽電池パネルなどに含まれる化学物質の含有率は各メーカーのホームページで確認可能です。

 

新築より既築の方が費用がかかる!

新築時であれば導入前提で設計から進めることができ、機能的・外観的にも理想に近い形で進めることができます。また、パネルの向きや勾配なども考慮した高効率・高費用対効果で運用可能です。

一方であと付けの場合、建築と並行して進める必要がないため時間に追われる必要が無く、取り外し可能なパネルを設置すれば固定資産税がかからないというメリットはあります。

しかし、あとからの工事の場合、設置可能な場所や向きが限定されがちです。また、既存の屋根などを傷付けないための足場を組むことも必要になります。こうした理由から、足場が必要なあと付け工事の費用の方が高くなる傾向にあります。

 

太陽光発電を始めるメリットと将来性

太陽光発電の大きなメリットは、電力会社に頼らず自家発電分で自宅の電力消費をまかなえ、余剰電力の売電収入をえることができる点です。太陽光発電設備を導入するとどのようなメリットがあるのかを紹介します。

 

太陽光発電の売電価格とFIT制度

FIT制度とは、経済産業省が2012年7月に開始した「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」のことで、「固定価格買取制度」を意味します。この制度は再生可能エネルギーからつくられた電気を電力会社が一定の価格で一定期間買い取ることを国が保証する制度です。

FIT制度の対象となる再生可能エネルギーは、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電の5つとなります。FIT制度の買取期間は10kW未満の太陽光発電の場合、10年間です。

一般家庭であれば10kwを超える発電を行なうことはまずありえないので、太陽光発電を設置すれば一定の価格で10年間電気を買い取ってもらえると考えればよいでしょう。2022年度の買取価格は1kWhあたり17円、2012年度は42円でしたので半分以下になっていることになります。

 

太陽光発電システムは値下がり傾向

買取価格が下がっている理由は、太陽光発電システムの設置にかかるコストが年々値下がりしていることも要因の一つです。

2012年の住宅用太陽光発電システムの設置費用は、1kWあたり50万円ほどでした。現在では20万円台であることを考えると大幅に値下がりしていることがわかります。パネルのみならず設備全般の価格低下によって、1kWhあたりの発電コストが劇的に下がっている現状もあり買取価格も安くなっているのです。

よく買取価格が下がった点のみを強調し、太陽光発電システムには将来性はないなどと紹介されますが、こうした設備の値下がり状況や、性能の向上を考慮すればむしろ太陽光発電の将来は明るいといえるでしょう。

 

技術の進歩で設置可能な箇所は増加中

世界的にも注目を集めている分野でもあり、太陽光発電システム関連の技術革新のスピードは速く太陽電池パネルの高効率化やパワーコンディショナーの小型化など目覚ましいものがあります。

そうした技術革新は太陽光発電システムの効果を大きくするほか、これまでであれば設置するために制約があるような場所でも容易に設置が可能になるなど、状況改善にも効果的です。重量の関係で設置できなかった場所でも太陽電池パネルやパワーコンディショナーの軽量化次第で設置できるようになります。

また、施工事例が増加してきたことでノウハウが蓄積され、複雑な形状の屋根などにも架台を設置できるようになれば、パネルの設置も可能です。

さらに現在ガラスに張り付けるタイプの透明なパネルの実用化に向けた開発が進んでおり、将来的に太陽電池パネルが設置できる場所は劇的な増加が期待されています。

このような技術革新の歴史は、その時代最も人々の関心が集まる分野で起こりがちです。SDGsが注目され、世界中の関心事である脱炭素社会の実現に向けた大きな柱である太陽光発電システムは、まさにこれから技術革新が最も進んでいく分野といえるでしょう。

 

電気代値上げへの対抗策?

日本の発電量の約7割を占める火力発電の燃料は天然ガスと石炭ですが、昨今の世界情勢の影響を受け、どちらの価格も高騰しています。また共に輸入が必要な資源であり、少資源国の日本にとって国家運営上重要なエネルギー政策を海外に依存しすぎることは大きなリスクです。

また安全上の懸念から原子力発電の停止がいつまで続くか不明であり、今後もことあるごとに電力供給不足や電気代高騰は避けられないものとなるでしょう。

そうした電気代高騰を回避するためには電力を自分たちでつくり運用することが最も効果的な対策です。蓄電池もあれば、使い方により昼間に使用しなかった電力を夜間などに効果的に利用できますし、災害時の予備電源としても活用が見込まれるため、非常時の電力確保に役立ちます。

 

もとを取るために必要なこと

太陽光発電システムを導入する以上、気になるポイントがかかった費用のもとは取れるのか、という点ではないでしょうか。収入源となるFIT制度の売電価格は年々下がっている一方で同様に設置費用も劇的に下がっている状況を考えると、なかなか判断が難しいのかもしれません。

結論からいえば、太陽光発電システムのもとを取ろうと思えば10年前後で回収できる計算です。

 

費用対効果はどれくらい?

前述のとおり、FIT制度による買取価格は下落の一途ですが固定買取期間は10年です。そのため期間終了までは市場価格より高い金額で売電できます。同様に設備費用も値下がりしており、現在でも平均すると約10%のメリット(利回り)が得られる計算です。つまり、経済的優位性のある最初の10年で費用を回収し、残りはランニングコスト以上のメリットがあれば、もとを取るどころかプラスで運用できる訳です。

では、FIT制度終了後のプラス分とは、どれほどのものになるのでしょうか。例として平均的な4人家族を想定して考察していきます。

4人家族の電気代の平均額は、2020年度総務省統計局の家計調査によると年間14万1,828円です。この金額は年間電力消費量にするとは約5,300kWhとなります。一般的に太陽光発電システムは1kWあたり年間約1,000kWの発電量が得られるとされるので、4~5kW設備があれば年間消費電力は十分にまかなえる可能性が高いでしょう。

もちろん、パネルの状態や設備の経年劣化、立地条件や地域・日照時間や天候により確実にプラスになるとは断言できるものではありません。ですがFIT制度下の10年で費用を回収し残り数10年間の電気量から解放されるという運用プランも十分に現実的です。

費用対効果を上げるには設置容量を増やす

では、費用対効果を大きくするために必要なことは何でしょうか。最も効果的な方法は設置容量(発電量)を増やすことが考えられます。

当然ですが、設置容量を増やせば相応にかかる設備費用も高額です。しかし毎日生み出される電気量も大きくなり、毎月FIT制度で買い取ってもらえる総金額も高くなり費用の回収を早めることもできます。

発電量は設置容量に正比例します。そのため、条件が一緒であれば発電効率は変わらないので、1kwの設置であれ5kwの設置であれ資金を回収できることに変わりはありません。つまり、設備費用を払い終わったあと、ランニングコストだけで発電できる期間に大きな電力を得るのか小さな電力を得るのかで費用対効果を大きくも小さくもできるのです。

 

補助金はどうすれば活用できる?

太陽光発電をお得に利用する方法の1つに、補助金を利用することも挙げられます。国からの補助金は2013年で終了しているので、地方自治体が実施している補助金制度を利用するしか方法はありません。

国に先駆けて太陽光発電の義務化を進める東京都や神奈川県・埼玉県・山梨県などで企業や組合向けの補助金制度が存在しており、実際に各自治体で条例が制定されれば、負担軽減のために新たな補助金も実施される可能性は高いでしょう。今後お住まいの地域で補助金が活用できないか、動向をチェックしてください。

 

10年~15年程度で回収するために

費用回収はFIT制度を活用すると10年ほどで十分に可能ですが、そのためには太陽電池パネルを最大限稼働させ、発電効率を落とさない運用が求められます。特にパネル表面に汚れがあると太陽光をうまく取り込むことができなくなり、効率低下は避けられません。また設備に故障があると、最悪の場合その間太陽光発電は実施できませんし、修理費用として別途資金が必要になる場合もあります。

そうした事態を避ける意味でも、日々のメンテナンスや点検の実施は大変重要な作業です。ともすれば後回しにしがちな定期点検作業ですが、発電効率を維持し10年でもとを取るためにも必ず実施していきましょう。

 

蓄電池の活用

太陽光発電の効果を最大化するためには蓄電池を併用します。晴れの日の昼間に貯めた電力を夜間や雨天時に使用するなど太陽光発電の電力を安定供給化することで、余剰電力をストックできる環境が整い電気を買う量が減り売電もスムーズに行なうことができます。

また、災害時の備えとするためにも蓄電池は必須の設備です。運用面を効率化したいのであれば太陽光発電の日々のメンテナンスや大容量化と同時に、電力のストックに必要な蓄電池を導入するとよいでしょう。

 

まとめ

たしかに太陽光発電システムを導入することは安い投資ではありませんし、発電量が自然環境に影響する以上、確実に利益が出るとはいえない点もネガティブ要素ではあります。しかし、費用や各社のシステムの強み・弱みを理解し、最適な太陽光発電システムを導入すれば、将来的に大きなメリットになる可能性は高いといえます。

技術革新が著しい太陽光発電分野は、パネルやパワーコンディショナーなどの設備はもとより携わる関係者や職人といった設置工事に関係する人々のスキルも日々向上しています。そのため、昔であれば設置できなかった屋根や土地であっても施工可能な場合もありますし、日当たりなどの条件が良い絶好の立地であるかもしれません。

もし少しでも興味をもった方は、下記のリンク先を参考にしていただけると幸いです。

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本田陸

本田陸

株式会社サンエー マーケティング部所属。2022年より企業向けの環境に関するコラムの執筆を開始しました。マーケティングの分野に関して、中学校での職業講話に登壇させていただきました。脱炭素化社会の構築に向けて、環境に関する情報を発信しております。趣味は筋トレとオンラインゲームで、社内のe-sports部で社会人向け大会にも出場しました。

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