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太陽光発電の「発電効率」とは?発電量を増やす5つの方法

太陽の光エネルギーをどれだけ電力に変換できるかの指標となる「発電効率」。

ソーラーパネルの性能を比較する際によく用いられるため、重要視される方も多いのではないでしょうか。

この記事では、発電効率の基礎知識や発電効率を高めるメリット、コツについて詳しく解説します。また、発電効率が低くなる理由や、平均的な発電効率量の目安なども紹介していきます。ご自宅やオフィスに太陽光発電を導入している方や、導入を検討していて発電効率についての知識を深めたいと思っている方は、ぜひ参考にしてください。

発電効率とは?3種類の求め方

ソーラーパネルのカタログやスペック紹介でしばしば目にする「発電効率」という言葉。太陽光発電についてより深く理解するためにも、まずは発電効率の定義や発電効率の測り方の種類をおさらいしましょう。

 

発電効率とは何か

発電効率(変換効率)とは、ソーラーパネルが受け取った太陽光エネルギーのうちどの程度を電気エネルギーに変換できるかを示します。
なお、現在流通しているソーラーパネルは、およそ15パーセントから20パーセントを電気エネルギーに変換できるのが一般的です。

変換効率には、

  • モジュール変換効率
  • セル変換効率

という2つの計算方法があります。

また、この2つの方法で求められた変換効率について、より正確な発電量を求める場合はさらに「真性変換効率」と呼ばれる計算方法で実測値を求めます。

どの測り方も、太陽光発電の導入を検討している場合は目にする機会が多いものです。定義や使うタイミングについて見ておきましょう。

 

発電効率の求め方1:モジュール変換効率

モジュール変換効率は、ソーラーパネル1平方メートルあたりの変換効率を表します。太陽光パネルのカタログなどには基本的にモジュール変換効率が記載されており、最もメジャーな変換効率の計算方法といえます。

 

発電効率の求め方2:セル変換効率

セル変換効率は、セル(ソーラーパネルを構成している最小単位の部品)1枚あたりの変換効率を表します。

モジュール変換効率よりも計測する面積が小さいため、電気抵抗などの影響が出づらく、高いパーセンテージが出やすい特徴があります。メーカーの研究成果の発表などで使われることが多い変換効率の計算方法です。

 

発電効率の求め方3:真性変換効率

真性変換効率が使われるのは、主に売電のタイミングです。

ソーラーパネルの表面には、発電のために使われる部分とそうでない部分が存在します。発電には使われない部分を差し引いた面積だけで算出した変換効率のことを「真性変換効率」と呼びます。売電の際には正確な発電面積を割り出すため、真性変換効率が使われるのです。

 

発電効率の求め方4:実効変換効率

一方、太陽光を受けない部分も含めて算出された変換効率のことを「実効変換効率」と呼びます。通常、ソーラーパネルのカタログや商品比較では、実効変換効率で計測されたモジュール発電効率が記載されます。

 

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発電効率と発電容量の関係性

発電効率としばしば混同されるものが「発電容量」です。発電効率と発電容量の違いを押さえ、納得のいくソーラーパネルを選びましょう。

 

発電容量とは

発電容量とは、「システム容量」「出力容量」「パネル容量」ともいわれるもので、ソーラーパネルが実際に生産できる電気の量を表します。

たとえば、発電容量が5kWと記載されている場合、そのソーラーパネルは最大で5kWの電気を生み出せることを意味します。発電容量が高いソーラーパネルのほうが発電量も増えるため、重視する人も多い項目です。

 

発電効率との違い

発電容量と発電効率にはどのような違いがあるのでしょうか。

発電容量は「パネルが実際に生産できる電気の量」を表すのに対し、発電効率は「受けた太陽光エネルギーを一定の面積あたりどの程度電気に変えられるか」を表しています。

つまり、発電効率が非常に低いソーラーパネルであっても、設置枚数を増やし発電に当てられる面積を広げれば発電容量や発電量を増やせるのです。

わかりやすくするために、1kgの鉄と1kgの羽毛の重さを比較することを考えてみましょう。

1kgの鉄のほうが少ない量(発電効率)で1kg(発電容量)を達成できますが、1kgの羽毛でも重さ(発電容量)は変わりません。
これが、発電容量と発電効率の違いです。ただし、発電効率の高いソーラーパネルは設置面積が少なく済み、増設することで発電量を増やしやすいという特徴もあるため、屋根の面積が少ない建物で特に重視されます。

 

発電量を高めるメリット

発電量を高めることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは3つのメリットをご紹介します。

 

1. 節電効果がアップする

太陽光発電を導入後も、夜間や天候の悪い日などで発電ができない場合は、従来通り電力会社に電気代を支払って電力を購入しなければなりません。発電量を高め、家庭やオフィス内での電力消費をカバーできる量の電力を作れれば、電力会社へ支払う電気代が減るというメリットがあります。

電力会社の電気料金は近年、社会情勢などによって大幅に値上がりしています。発電量を高めることによって、家計や企業の経費の負担を軽減する効果が期待できるでしょう。

 

2. 売電収入が増える

家庭用やオフィス用の中でも比較的小規模(規模10kW以下)のソーラーパネルなら、自家消費して余った電力を電力会社に売却できます。発電量が高まることによって余剰電力が増えれば、そのぶん売電収入の増加につながるでしょう。

なお、太陽光発電の持つ特徴の一つに「どれほどソーラーパネルの面積や枚数を増やしても、設備の維持や管理費用がほとんど変化しない」というものがあります。つまり、ソーラーパネルの発電量を増やすことで、ランニングコストは一定のまま収入だけを伸ばせるのです。

 

3. 停電対策になる

災害や異常気象などで電力会社からの送電が止まり停電になってしまった場合の対策としても、発電量の増加は効果的です。

企業にとって停電は、重要な業務が継続できなくなる恐れのある非常にリスキーな事態。また、家庭でもペットや乳幼児、高齢の方がいる場合、停電によって冷暖房機器が使用できなくなることが生命の危機に直結してしまうかもしれません。停電によって生じうるさまざまなリスクを最低限に抑えるためにも、発電量を増やすことは非常に重要です。

 

発電効率が低くなる原因

発電効率は、パネルがもともと持つスペックだけではなく、日々の利用方法などによっても増減します。ここでは、発電効率が低くなる原因について見ていきましょう。

 

1. ソーラーパネルの劣化

発電効率を低める原因として最も大きいものが、ソーラーパネルの経年劣化です。経年劣化が進んだソーラーパネルは、新品購入時の80パーセント以下にまで発電効率が低下していることも。

具体的にいうと、もともとの発電効率が20パーセントの場合、経年劣化が進むことで16パーセントまで低下してしまうというわけです。

一般的に、ソーラーパネルの寿命は20〜30年程度とされています。ただし、パネルの品質や設置後の利用方法、天候などの状況によっては劣化が早まることもあるため注意が必要です。

 

2. パネル表面に汚れが付いている

ソーラーパネル表面に汚れや鳥のフンなどが付着していると、パネルが太陽光を受け取る面積が減り、発電効率が低下してしまいます。

また、雪や落ち葉などがパネルの上に積もることも、発電効率が低下する原因です。

 

3. 破損や浸水などパネル内部のトラブル

ソーラーパネルが破損したり、破損部分から内部に雨水などが入り込んだりしている場合、発電効率は低下してしまいます。

また、目視では確認できませんが、パネル内部の劣化・損傷も発電効率が下がる原因の一つです。

 

4. 高すぎる外気温

シリコンでできたソーラーパネルは、外気温によって発電効率が増減します。

一般的に、ソーラーパネルの表面温度が25度から1度上がるごとに、発電効率は0.4〜0.5パーセントずつ下がっていくといわれています。

 

5. 電圧が高くなりすぎている

「電気事業法」により、ソーラーパネルで生産された電気の電圧は107Vを超えてはならないことが規定されています。

電圧が上がるのは、電気の消費量が少なく、作られた電気が余っている状況が続いているとき。この状況下ではパワーコンディショナーが自動的に電圧上昇を抑制するため、発電効率は低下したように見えてしまいます。

 

発電効率の平均量

実際にソーラーパネルを導入する際や、導入したソーラーパネルの質を確認する場合に、発電効率がどの程度であれば平均的といえるのでしょうか。

ここでは、発電効率の平均量や発電効率の世界最高水準をご紹介します。

 

15〜20パーセント以上であれば高水準

一般的に、家庭やオフィスに設置するソーラーパネルは、モジュール変換効率で

  • シリコン系であれば20パーセント
  • CIS化合物系であれば15パーセント

程度であれば高水準といえます。

 

世界最高は47.1パーセント

世界最高の発電効率を誇るソーラーパネルは、米国の国立再生可能エネルギー研究所(NREL)が2020年4月に発表したSix-junction III-V太陽電池。47.1パーセントの発電効率を記録しています。

ただし、製造コストがかかりすぎることなどから、家庭・オフィス用のソーラーパネルとしての実用化は検討されていません。

 

実用サイズで世界最高の製品は日本メーカーが作成

実用サイズで最も高い発電効率を持つソーラーパネルは、2022年6月にシャープが発表したもの。32.65パーセントの高い発電効率を持ち、現時点では電気自動車や宇宙分野での利用が検討されています。

 

発電効率が水準より低くても問題ないケースも

なお、発電効率が20パーセントを切るソーラーパネルであったとしても、発電容量が他のメーカーのパネルに比べて遜色なく設置面積にも余裕がある場合は、それほど気にする必要はありません。

個人であれば、住宅面積が35坪~40坪程度で3〜5人家族、かつ蓄電池やエコキュートを導入している場合、合計で5kW程度の発電容量があれば必要な電気の量は十分にまかなえます。

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発電効率を下げず発電量を増やす方法5選

ポイントを絞って太陽光発電を導入したりメンテナンスしたりすることで、発電効率を下げずに発電量をキープできます。ここでは、発電効率を下げない方法を5つご紹介します。

ソーラーパネルを長持ちさせることにもつながるため、ぜひ参考にしてください。

 

1.ソーラーパネルを増やす

まずは、ソーラーパネルの増設です。太陽光を受ける面積が増えることで、発電効率が飛躍的に高まります。

一般的な機械設備と異なり、ソーラーパネルは増設しても維持・管理コストがほとんど増えないことが特徴。コストが大きく増加するのは設置時のみです。予算や屋根のスペースに余裕があって発電量を増やしたい場合は、ぜひ増設を検討してみてください。

ただし、増設により発電容量が10kW以上になる場合、売電価格が下がってしまう可能性もあります。増設前には発電容量を確認することが大切です。

 

2.ソーラーパネルの角度を調整する

ソーラーパネルを設置する方角も検討しましょう。一般的に、ソーラーパネルは南側に設置すると最も発電効率が高まるといわれています。

ただし、住宅やオフィスの環境によっては東向きや西向きのほうが適しているケースもあるため、事前に業者やメーカーとよく話し合うようにしてください。

 

3.発電量をモニタリングする

太陽光モニターなどの発電量や使用電力を確認する設備を導入すれば、ソーラーパネルの稼働状況が確認できます。

発電量が急激に下がっている場合、パネル上に何かしらの不具合が発生している可能性があるため、すぐに状態を確認しましょう。また、発電量に問題がなくとも定期的にパネルに落ち葉や汚れなどがたまっていないかを定期的に目視でチェックすることで、不具合や劣化を防げます。

 

4.定期的にメンテナンスする

業者に依頼して、定期的にメンテナンスすることも重要です。メンテナンスでは、パネルの汚れや設置状況、機器の不具合を調べます。

定期検査の時期は特に定められていませんが、

  • 設置して1年目
  • 4年に1度
  • メーカー保証が切れる年
  • 出力保証が切れる年

など、故障や不具合の出やすいタイミングでメンテナンスをすることが一般的です。

 

5.ソーラーパネルを買い換える

設置から20年以上の時間が経過しソーラーパネルが劣化している場合、買い換えることも一つの手段です。

 

発電効率を高める際の注意点

発電効率を高めて発電量を増やす際の注意点には、どのようなものがあるのでしょうか。

 

発電容量と発電効率は異なる

「発電効率を高めること」が、「発電量を高めること」に必ずしも直結するわけではないことに注意しましょう。たとえば、発電容量の上限が5kWのソーラーパネルは、変換効率をどれほど高めたとしても5kWしか発電できません。

 

発電効率よりも発電容量を確認する

ソーラーパネルの発電効率を考慮したほうが良いのは、設置できる面積に限りがあるときや、新築時にソーラーパネルを設置するため屋根の形状がわからないときのみ。屋根の条件が良い場合は、発電効率にこだわる必要はありません。

発電効率にこだわるあまり発電容量が低くなり、使える電力量が減ってしまっては本末転倒です。太陽光発電の導入時には必ず発電容量を確認しましょう。

 

発電効率はパネルの良し悪しに直結しない

発電効率は、パネルそのものの品質とはあまり関係がない場合もあります。たとえば、シリコン製ではなくCIS化合物製のソーラーパネルの場合、シリコン製のものに比べて

  • パネル表面温度が高温になっても発電効率が下がらない
  • 落ち葉などで影が生まれても影響が出づらい

などのメリットがあります。発電効率自体はシリコン製のソーラーパネルと比べて低いですが、場合によってはシリコン製より発電量が高くなることもあります。

 

まとめ

太陽の光エネルギーをどれだけ電力に変換できるかの指標となる「発電効率」。発電効率の高いソーラーパネルは発電量も高めやすく、結果として節電効果や売電収入の増加、停電対策などのさまざまなメリットが生まれます。モニターの確認や目視でのチェックなど簡単にできるケアでも発電効率は高められるため、ぜひ定期的なケアを実施してください。

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この記事を書いた人

本田陸

本田陸

株式会社サンエー マーケティング部所属。2022年より企業向けの環境に関するコラムの執筆を開始しました。マーケティングの分野に関して、中学校での職業講話に登壇させていただきました。脱炭素化社会の構築に向けて、環境に関する情報を発信しております。趣味は筋トレとオンラインゲームで、社内のe-sports部で社会人向け大会にも出場しました。

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